オープンソース・ソフトウェアの役割を考える

こちらもレポートの内容になります。興味のある方だけ読まれるがよろし。


OSSの役割を考える前にまずその特徴をあげることが大事でしょう。

授業で教えて頂いたことをふまえて言うと、OSSの最大の特徴は「フリー」であるということだと思います。

ここでいうfreeとは自由と無料を包括しています。

ソースコードを公開し、著作権など企業によって独占されたクローズドソフトウェアを開放する。

これが自由です。

そしてシェアウェアが常識であったビジネス世界にフリーウェアながら最高の技術をもたらす。

これが無料です。

これらOSSのフリーはどう活かされるべきか、意見を述べさせて頂きます。


OSSはある種の慈善事業だといえます。

いわばITボランティアでしょう。

お金のためにやるのではなく、人から言われてやるものでもありません。

自発的な無料奉仕なのです。

ここに一種の博愛文化が存在します。

OSSを開発するハッカーにとってstatusはお金ではなく、賛辞です。

プログラムを改良し、自分が楽しく、他人を楽にさせる。

それがrespectの源泉です。

その知的好奇心に基づき、単純にOSSの発展もといその技術の向上と頒布にあります。


そして、これこそが世界のIT機会の均等に役立てられるのではないかと考えます。

そのソフトウェアでお金を稼ごうという考えがなく、純粋な目的があれば、ITがまだあまり発展していない国への奉仕となるのではないでしょうか。

ITが発展途上の国とはITのインフラがあまり普及されていないということです。

日本のブロードバンド普及率とは対照的ではありますが、ネットに繋がらないわけではありません。

そこで経済的に厳しい彼らにとってOSSはまさに希望の光となるでしょう。

そして彼らに間接的経済支援ができるのもOSSだと思います。

OSSを使い、彼らもそのコミュニティに参画することで技術が上がります。

そうすることでその技術が世間的に認められ、どこかの企業に採用されるか、あるいは自分自身でソフトウェアを開発し販売することが可能でしょう。

ビジネスソフトウェアとは違い、OSSの前提条件はネット環境があることただそれだけです。

リアルの物理的制約から離れたことが可能になるのです。

いわゆるネットの「こちら側」ではなく、ネットの「あちら側」さえしっかりしていればいいわけです。

そう、ネット環境さえあれば、他に問われることはありません。

複製することもコスト0、送信するのもコスト0。

ユーザーであれば無料で誰でも使えますし、開発者であれば経済的貧富などの他要因が問題とならず、単純に技術が問題となります。

そこには民族的差別などはないのです。

つまりこのOSSでユーザーと開発者ともに機会均等をもたらしていると思います。


そしてOSSから受けた技術に対し恩返しをしたいという気持ちがある人もたくさん出てくることでしょう。

そうして技術が改善進歩すればOSSは確実に発展します。



授業を通しても思ったのですが、これらOSSの思想に私が感動したのは、個人的に研究している仏教思想と同じだったということがあります。

仏教では「自利利他」が説かれています。

これは相手の幸せがそのまま自分の幸せになるということです。

OSSこそまさにこの利他の精神だなと思います。

人のため世界のために開発することが、より自分に便利な技術が提供される。

そしてまたこれに対し報謝がされる。

そういった好循環が回れば世界は確実にいい方向にいきます。

発展しないわけがありません。

もちろんここに国や政府あるいは企業が絡むことで、技術をめぐった種々の問題が発生することでしょう。

しかしこのOSSのコミュニティは、自由と平等を世界にもたらす、私はそう考えるのです。

国や民族や経済的状況などリアルでの差別や制約はあまりにも大きく、これからこの差別がなくなるのは時間がかかることでしょう。

しかしOSSといったインターネットの力を使えば、その差別から離れたネットでの生き方が明示できるのではないでしょうか。

リアルに固執する人は固執すればいいし、ネットの力を借りたい人は借りればいい。

そう考えると差別制約のある人が多くこれからIT産業にかかわってくることとなるでしょう。

今はIT強国と歌っている先進国もこれからどうなることでしょう。

いずれかOSSの恩恵を受け、どんどんネット世界で活躍する人たちが登場してくるのではないかと思われます。

それを受け我々日本人も頑張ることで、いい意味でOSSが活発となり、IT業界の発展、そして世界平和の礎になるのではないでしょうか。