日本と世界の狭間に存在する大きな壁とは

今就活真っ最中な自分だけれども、同時にゼミの卒論のテーマ決めも迫られている。そのゼミは「プラクティカルエシックス」を専門としている。日本語でいえば、実践倫理。まあ、応用倫理の理解でいいのはないだろうか。そこで僕は情報倫理を専攻している。こんな書き方をするといかにも僕が優れた人間っぽそうな雰囲気があるけれど、実際は全然そんなことない。ゼミの雰囲気もみんな自由気ままで好き勝手やっている。テーマはバラバラ。ジャニーズについてやるヤツもいれば、本当に起業して企業倫理を研究するツワモノもいる。まとまりのないゼミ、それが僕の所属する「プラクティカルエシックスゼミ」である。まあかくいう僕も好き勝手やらさせてもらっているわけだが。情報倫理を研究しているのは僕しかいない。これは別に寂しいことではない。むしろカブるとかそういうのが大嫌いな自分にとっては、「俺だけ」的なことは大好きなわけで。こうして全く畑が違う人を「倫理」という大義のもとかき混ぜた感じ。常に白熱した議論が展開されるが、その議論の先は全く予想できないところへ飛んでいく。最終的に先生の手によりうまくまとめられているのだけれども、本当に先生いなかったらどうなるのか、全くもって謎である。

まあ、そんなことはどうでもいい。とにかく自分は情報倫理を専攻している。これは正直なハナシ倫理が好きだからやっているわけではない。情報系が好きなのだ。だからこのゼミにいるって言ってもいい。「ぶっちゃけ情報系だったら何でもできんじゃね?」的なノリで入ったのだ。そうして僕は今まで自分の興味関心あるものばかりをやってきた。「匿名実名問題」「Google」「Webコミュニケーション」「ネットいじめ」「著作権」「プライバシー」などなど。こうして学んだことは、IT特化の就活をしている今、リンクすることばかりであることに気づく。

とは言え、もう3年も終わり、4年になる。そろそろ方向性を決めねば危うい。情報倫理(あるいは情報系)と言ったって、その範囲はあまりに広い。情報系の海の中でどの方角を目指すか、これを決めなくてはならないわけだ。そうしないと、卒論など書けるはずもない。丸1年間かけて完成させるのが卒論である。それはいわば学生生活の集大成。集大成とかいって醜態をさらしちゃ絶対後悔するし。だから少しここで考えてみることにした。

今まで誰もやったことがないようなことは何か。自分の興味あるものは何か。そして今だけではなく将来も役立てるものをやりたい。

そこで

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

を読んで「ウェブ上における自由と無料」について考えようとしたり

あるいは

デジタルネイティブが世界を変える

デジタルネイティブが世界を変える

を読んで「デジタルネイティブ」について研究しようかと悩んだり

と、いろいろ考えてみた。

確かにどれも面白そうなのだけれど、いまいちしっくりこない。利根川進の言う「ジャッジメント能力」が自分にあるかは分からないけれど、これではいけないという思いが心の底から聞こえた。

では何だろうか。

しばらく悩んだが結論は出なかった。そして1週間ほど経ったとき、ゼミ費があまっているということで、前から気になっていたこちらを購入した。

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で


これだ!

そうこれがやりたかったんだ、オレは!


そういえば自分が前から関心があったのは、日本の特殊性だった。ITに対し世界を変えることができるという希望を抱いている僕だが、今の日本の現状は世界の例から漏れていることを薄々知っていた。ITのもたらすフリーで英語圏を中心に世界中が大きく変わる中、日本に入るときには日本用に形を変えていたり、それによって遅れている。携帯電話も有名な話だが、日本の中ではその技術が独自の進化を遂げている。しかしその日本流の技術は世界には通用しない。技術的にいくら優れていても世界とあまりに違いすぎるからである。

こんなにスゴい技術をもっているのにどうして日本は世界において孤立するのか、あるいは世界はなぜ日本にもっと注目しないのか、そういった疑問を長年持っていた。内心こういったことを常々考えていたのだけれども、うまく言語にすることができなかった。しかし、就活などで将来を考えた時、こういった問題をなんとか解決したい気持ちが自分にあるのを再確認した。


この日本と世界の間にある情報壁をどうやってぶち壊すか


これこそ自分のライフワークである、と。


卒論をとおして学生時代に理論化し、社会に出てそれを実践する。こうしていければ万々歳だ。

そのためにどういった手法でやるかを考えなければならない。

「世界」の中でもIT業界が非常に活発であるアメリカのものを中心にみていきたいと思っている。今現在のほとんどのサービスはアメリカ発といってもいい。アメリカを知れば、世界のIT事情がわかるといっても過言ではない。今回注目したいのは今現在「世界」を支配している言語である英語とそれとは対照的に孤立している日本語という言語だ。そしてそれによって生まれるコミュニティの差異を見ていきたいと思っているわけです。IT世界はリアルの世界とは異なったもう一つの地球と言われるくらいで、あまり国がどうこうと意識はされませんが、強いて言えば日本とアメリカのこの二つを中心になっていきます。この二つの国それぞれの代表的ウェブサービスにおける表現方法やそのシステムの違いを考えたり、あるいは二つの国でともに使われていてもユーザーの使い方のが違う点などを見ていければと思う。

…また変更あると思うけど、現状はこんな感じです。